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マイノリティー・リポート

監督:スティーヴン・スピルバーグ/池袋HUMAX(2002.12.07鑑賞)/★2(21点)本家gooDB

SFの仮面をかぶったよくある謎解き物。トム・クルーズの持ち込み企画は信用するな!(映画も長いがreviewも長い)

まず誉めよう。
スピルバーグは頑張った。
未だ『ブレードランナー』の幻影を引きずった未来像に新たな一石を投じようとした(事実スピルバーグ自身『バック・トゥー・ザ・フューチャー2』では『ブレードランナー』を引きずっていたと思う)。
彼ならではの新しい未来社会を描こうとした。
それに免じて大甘2点。スピルバーグの巧さは皆無だったけど。

トム・クルーズはこう言っている。

「知的なものではなくハートに訴える作品を常に目指している」

頭が悪いんで感覚でしかモノをとらえられないと言っているのだろうか?
彼が企画した作品は目先の面白さだけを追った作品に終始している気がしてならない。
『ミッション:インポッシブル』(★4)『M:I−2』(★3)『アザーズ』(★2)『バニラ・スカイ』(★1)。
私の独断と偏見に満ち満ちた採点で何が分かるのかと問われれば、「意外とトム・クルーズ作品観てるじゃねーか!」ってことぐらいなのだが、私が評価している『ミッション:インポッシブル』はトムとデ・パルマがモメモメで「トムの気に入らない作品」らしいから、俺と奴は気が合わんっちゅうことだ。ついでに言えば、元嫁キッドマンも彼女のペネロペちゃんも俺は好きでないから、女の趣味も合わんっちゅーこったな。(トムがヤグチを気に入るとも思えんし)。

今回ばかりはスピルバーグを擁護しよう。
だってさあ、もう20年も彼の監督作を見続けているけど、「1009」だか「1006」だかとか目玉がコロリンなんてお下品なギャグやる人じゃないもの(あれギャグでしょ?)。この映画はスペルパーグとかいう人が作ったに違いない。

そもそもあまりにも脚本がなってない。お気楽な娯楽物にメクジラを立てるなと言われそうだが、お気楽に観ていたのでは見逃してしまいそうな微妙な伏線というか設定というか、生かされていない物が多すぎる。

トムがヤク中であることに意味があったのか?
子供を失った悲しみから溺れたということなのだろうが、プリコグがヤク中の子供たちという設定であるから、ヤク中に俄然意味が出てきてしまう。
本当はトムはもっと前からヤク中だったのではないか?だとしたら、子供は誘拐されなくとも12歳位で死んでしまったのではないか?
だとしたら、いずれにせよトムが命を奪ったことに変わりは無い。これは原罪として彼に大きくのしかかるだろう。ひょっとして生き延びたらプリコグになっていたかもしれない。もっとも、こんなことはただの深読みで何の関係もないのだろう。

自分が子供を失った悲しみを知っているのだから、プリコグとして娘を失い殺された母親にもっと感情移入してもいいだろう。
いや、本当は感情移入しているからあれだけ頑張ったのだろうが、そんなことは微塵も感じさせやしない。
そんな心理描写よりも目玉コロコロだ。それとも「感情移入しただろう」ってのも深読みなのか?

トムの片目は無事だったのか?あと何時間か開けちゃいけなかったんじゃないのか?片目が見えないって描写があったか?それともアレはサスペンスを盛り上げるためだけで両目とも無事だったのか?だとすると、盲目のヤクの売人が「片目の方が世界がよく見える」と言ったのは何のためだったのだ?
全く全くまっっっったくなってない。それともこれもただの深読みで何の関係もないというのだろうか?

ここから一気に真面目な口調になるが、ハッキリ言っておこう。
SFとは設定のためにあるのではなくテーマのためにあるのだ(ハードSF寄りの思想だが)。
つまり『ゴジラ』が現れたことがSFなのではなく、何故『ゴジラ』が現れたかがSFなのだ。

例えそれが「人類への警告」という陳腐なものでもいいだろう。この映画にはそれすらない。

俺なら終盤の「はめられた」クダリは全部カットだ。1009号室だか1006号室だかに行くのだって「この目で確かめたい」などという根拠薄弱なご都合主義ではなく、偶然が重なり(そしてそれは必然となる)行き着かねばならない。あるいは、ひょんな事から息子を誘拐した犯人の手がかりをつかみ、それを追っていくうちに行き着かねばならない。そしてそこには、罠ではなく、本当の真犯人がいなければならない。心の底から殺したいと思うトム。そして殺そうとするのだが、一瞬迷いが生じる。奴を殺しても子供は返らない。そう改心した瞬間、犯罪予防局が突入、トムは逮捕されムショ送りになってしまう。たしかにシステムは正しかった。だが、罪を犯す前に人を裁くことは正しいのだろうか・・・。この方がよっぽどマシだと思わない?

もっとも、えらく暗いオチになってしまうがな。

日本公開2002年12月7日(2002年米)2時間25分


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