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裸の島

監督:新藤兼人/BS/★4(70点)本家

これが生きるということなのか。つ、つらすぎる・・・
なんでも500万円の低予算で4人の出演者とわずか13人のスタッフが合宿して作ったそうだ。

台詞が全く無いことで実験映像的な扱いを受けがちだが、台詞がないことに違和感は全くない。むしろ、それが自然なくらいだ。だが2度だけ主人公達の声が入る。笑い声と泣き声だ。生きることの最低限のことしかこの映画では描かれていない。『砂の女』にも似た生きることの不条理さまで感じる。

単調な動作をありとあらゆる構図を使って見せる(決して奇をてらったものではない)だけでも「上手いなあ」と思ってしまうのだが、「さすが脚本の手本。日本映画脚本界の重鎮」と思わずにいられない。全く台詞が無いにもかかわらず。

妻(乙羽信子)が、疲労からか、桶を倒し水をこぼしてしまう。その妻を夫(殿山泰司)が殴る。もちろん、水が貴重であることや夫の中にある苛立ち(妻に対してというよりむしろ生活、あるいは生きることに対する苛立ちと言った方が正しいだろう)の表現だ。だが単にそれだけでは終わらない。子供を失いラストで妻がブチ切れ、水をぶちまけて泣き崩れる。だが今度は夫は何もしない。ただ黙って妻を見つめる。先に殴るシーンを見せているからこそ、妻を見つめて立っているだけの演技でも、その夫の心情が伝わってくる。「ああ、伏線とはこういうものだのだな」と感心してしまった。

役者も素晴らしいし、よく出来た映画であることは認めるけど、生きるってこんなに辛いものなのかなあ・・・。

(1960年 日)


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