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監督:行定勲/TV/★5(90点)/再見/本家公式サイト

この読後感(?)は「傘がない」だ!
在日問題に関していえば『月はどっちに出ている』より高い評価を受けて然るべき。この問題に関しては『キューポラのある街』まで遡らねばならない深い問題だ。私自身、国家や国民性をネタにすることはあるが、神に誓って決して「血が汚い」等と民族を差別したことはない。

しかし日本には、部落問題に至る身分制度等、長く深い差別の歴史がある。明治維新以来西洋信奉が根付き、奈良・平安時代迄の文化の祖ともいえる中国大陸はいつしか見下す対象となり、かの侵略戦争(とあえて言おう)に至っては労働力ばかりか「食い物はなくても女は連行する」という恥ずべき行為を行い、残留孤児や在日朝鮮人を生み出す一因となる(もちろんそればかりが原因ではないが)。

こうした差別体質が我々のDNAに組み込まれている事を私は恥ずかしく思うし(だからいじめはなくならないとも思う)、白人には恐縮するくせに東南アジアで少女を買ったり(沖縄のアメリカ兵も日本人少女を凌辱するが)、「在日」「あんな朝鮮にふられたらウンヌン」等と侮蔑的な発言がなされる差別意識がこの国に現存するという事実を忘れてはならないとも思う。

どうやら私は、アメリカという国家が嫌いな左翼思想の愛国主義者らしい。一見矛盾するようだが、自分の名前を恥じながらも「椿姫」が好きな桜井椿と同じなのかもしれない(ちょっと違うか)。話が横道にそれたが、以上の事等から私は「いっそのこと、僕の身体が緑色だったら」という台詞に泣いた(読んでないから知らないが原作にあるのか?)。さらに言ってしまえば、本家韓国が民族問題をまるで怪獣か異星人の如く取り扱った『シュリ』なんぞしか作れないのはどういうわけだ?

この映画、こういった問題を包括しつつも、それを正面から切り込む社会派映画ではない。むしろ「自分探し」の映画だと思う。私は血の問題を先に語ってしまったが、劇中繰り返し言われる「恋愛に関する物語」の中に社会的問題が(それも主人公の枷として)折り込まれていると見る方が正しいのだろう。そういった意味で、私は井上陽水の名曲「傘がない」を思い出した。だが、「恋愛物」「青春物」と単にくくるだけでは何か足りない感じがしたので、自己をみつめ成長する(その過程で血や国籍の問題は避けて通れなかった)「自分探し」という単語を選んだ。

初めて観た【行定勲】作品。この映画に関して言えば、【窪塚洋介】や脚本の【宮藤官九郎】からTVドラマ「池袋ウェスト・ゲート・パーク」を連想したこともあり、【堤幸彦】と比較してしまった。上手いのだがテレビ的なチャカチャカした演出で落ち着かない堤作品に対し、こちらは実に映画的。豪華脇役陣が支えたこともあろうが、映画としても非常に完成度が高い。余談だが、大爆笑した【平田満】ネタは「池袋〜」でも同様に川崎麻世で使われていた。クドカンの好みなのだろうか。

(2001年 日)


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