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山椒大夫




監督:溝口健二/恵比寿ガーデンシネマ/★5(90点)
本家goo movie
こんな陰惨な話、観たことない。ビックリした。
恥ずかしながら、溝口作品を初めてスクリーンで観た。
ビックリした。
テレビサイズの画面で観る映画じゃなかった。
ものすごく完成度の高い画面だ。
昭和29年の映画だろ、これ。今の方が後退してるじゃないか。
同じ年に『七人の侍』や『ゴジラ』があったことを考えると、この頃の方が映画黄金期だったのかもしれない。

ここから先、思いっきりネタバレについて書くので、なるべくぼかしますが、それでも未見の人は読まないことをお勧めします。

「お母さん、厨子王ですよ」というシーンがあります。
ここでもう充分、涙ながらの再会、感動的なシーンにしていい場面です。
ところが「また騙そうとしている」みたいな言葉が返ってきます。
厨子王はビックリします。観ているこっちもビックリします。
そういう言葉が出るということは、「そういう目に遭ってきた」ということの裏返しなのです。
これはすごい台詞だと思うんですね。
一つの台詞で、画面上に描かれない背景を語り尽くしている。
見た目にもかなり酷い状況なのに「そんなことまであったのか!」と思わせる。
いやもう悲惨。陰惨。酷い。サディスティック溝口、酷すぎる。

こうした脚本の完成度、画面の完成度、何をとっても「映画のクオリティの何たるか」を教えてくれる映画だと思うのです。
昭和29年の映画なのに。
いや、『七人の侍』『ゴジラ』も生み出した昭和29年こそ、日本映画の全盛期だったのかもしれない。

1954年3月31日公開(1954年 大映)124分

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