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ロッキー




監督:ジョン・G・アヴィルドセン/CS(再鑑賞)/★4(85点)本家

21世紀に再鑑賞して、時代の変遷を再確認する。
ほぼ四半世紀ぶりに再鑑賞。
正直言うと、最初に鑑賞したのは大学生の頃で、当然リアルタイムではなく、既に『ロッキー3』の頃でムーブメントと化しており、当時は流行り物には「ケッ!」って言いたい若さがあった。
歳くってから素直に観るとね、いやあ、これ、いい映画だわ。泣いちゃったよ。
21世紀になってこんなこと言うのもナンだけどね、あのね、これ、いい映画。

年齢を経ると、素直に観られる(涙もろくなる)他に、いろんな知識も得ちゃうんだ。

この映画の制作が1976年(昭和51年)。
日本では田中星児が「ビューティフルサンデー」を歌っている頃なのだが、アメリカでは50-60年代の黒人運動が功を奏して黒人差別がだいぶ解消され、むしろ優遇されたりして逆差別が生じていた時期らしい。
実際に、ロッキーのような「白人貧困層」がアメリカの社会問題となりつつあったという。

裕福な黒人・アポロvsイタリア移民の貧乏白人・ロッキーという構図は、単なるハングリー精神の描写ばかりでなく、こうした社会情勢を背景にしていると言われることがある。
実際、後のロッキーシリーズも『ランボー』も、脚本家・スタローンはその対決構図に社会的背景を盛り込むことがあった。
そうした社会性を帯びるのは、アメリカン・ニューシネマの影響も大きいんじゃないだろうか。

しかしこの映画は、アメリカン・ニューシネマ的な“ヒネクレ”が無く、実に素直な作り(構成も感情の流れも)となっている。
ベトナム戦争を背景に、時代の空気を描いたアメリカン・ニューシネマ。
そしてベトナム戦争の終焉が本作制作の前年1975年。
同じ1976年に制作された『タクシードライバー』がアメリカン・ニューシネマの終焉であり、『ロッキー』がアメリカン・ニューシネマ以後の始まりだ、とする説があるが、21世紀になって振り返って見ると、本当にそう思う。

ベトナム戦争で失いかけた「アメリカン・ドリーム」を再び提示した映画。

『ロッキー』は、スタローン自身の経歴はもちろん、アメリカ映画史、いや、アメリカという国にとって、実に大きな転機となった映画だったのだ。

(1976年 米)

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