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愛のむきだし




監督:園子温/新宿K's cinema/★5(90点)
本家公式サイト

パンチラと哲学。信仰と空洞。純愛と血飛沫。むきだし感満載。笑った。泣いた。充実の237分。いつかまた観たい。
笑いあり、涙あり、愛あり、哲学あり、アクションあり、パンチラあり、ビアンあり、血飛沫あり、充実の237分。ほぼ4時間。長い。けど満足。軽快な話運びのせいか「打ちのめされた感」は無いけど、不満は一切無い。いや、大満足。

文学か詩のような作品だと思った。村上春樹的にも思えた。
盛り沢山すぎて、どこをどう切り取って書こうか悩ましい。

概して「男は“静”、女は“動”」として描かれているような気がする。
主人公が軽快に闘う場面は、女装した「サソリ」の時だ。
いやまあ、盗撮の際は軽快に動くんだが、その主人公は勃起不全なのである。つまり男としての機能を持ち合わせていないのだ。
一方、板尾創路は勃起したイチモツを実の娘にはさみでチョン切られる。女性の手で男性“性”が抹殺される象徴的な場面で、この映画は男の本能を“原罪”として位置付ける。
そしてそれが後々、若い男女が救い救われつかみ取る“愛”に連鎖している。
言い換えれば、“罪”を受け入れることで“愛”に至るのである。

また、新興宗教ウンヌン言いたくなるが、たぶんそれは本質ではない。
この映画では、新興宗教もカトリックもパンチラ信仰も同質なのだ。
「神父は結婚出来ない」理不尽さと、「全ての答えは女性の股間にある」という馬鹿馬鹿しさと、新興宗教の洗脳は、まったくもって同質であり、そこに真の“愛”は存在しない。
それらは全て、“原罪”を意識する道具立てなのだ。

そしてこれは、「喪失の物語」ではないだろうかと思う。
正確には、「喪失の果てに一握りの愛をつかみ取る物語」。

映画は主人公が母を失うところから始まる。
そこに吸いよせられる登場人物達は、皆一様に親から正しく愛されなかったアダルトチルドレン達。ここに彼らの心の喪失がある。
いびつな形の家族が形成されるが、それもやがて主人公の元から去ってしまう。
彼は全てを失って、一握りの愛を、一握りの愛だけを、死に物狂いでやっとつかみ取るのだ。

実に映画的だと思ったのはラストシーン(237分付き合ってラストシーンかよ)。
窓をぶち破って手を握るのだ。扉を開けて、ではない。ぶち破ることに、「つかみ取る感」と「むきだし感」がある。ほんと、むきだしだ。

2009年1月31日公開(2008年 日)

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