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おと・な・り




監督:熊澤尚人/恵比寿ガーデンシネマ/★3(51点)本家公式サイト

そこそこの年齢でそこそこの年収があるように見えるのに、なんでそんな壁の薄い安アパートに住んでるのさ?なんてことが、この点数の理由ではない。
アパートの壁の薄さよりも、人々の心の壁の薄さが気になってしかたがなかった。

主人公二人は大変奥ゆかしく、テレビも無い部屋で粛々と暮らしている。
特に異性関係には奥ゆかしく、学生時代から好き合っていたのに言い出せなかったのであろう関係の匂わせかたとか、市川実日子演じる同僚が岡田准一の元カノであろう匂わせかたとか、そうした描写は(易々と判ってしまうのだが)それほど薄くはない。
だが、周囲の人間が実にズカズカと土足で他人の心に踏み込んでくる。

特に後者の元カノの件が顕著なのだが、『カナリア』で唸らせたかつての名子役=谷村美月が転がり込んできて「彼女と別れた理由が分かる気がするウンヌン」的なことを言い、当の市川実日子も電話一本寄越さずにズカズカ家に押しかけて「隣の鼻唄お姉さん、まだいるんだ」的なことを言う。

ひとのプライベートほっとけ!

コンビニ店員・岡田うっちー義徳は言わずもがな、花屋の小僧まで「本当に彼女いないんですね」と平然と言ってのける。ぼくらの女神=麻生久美子になんてこと言うんだ!

本屋で立ち読みのシーンでストーリーに無関係のカップルが邪魔臭く登場することから、こうした周囲の人間の無神経さは、主人公達の奥ゆかしさを際立たせるために意図的に描かれてるのだろう。
それはいいのだが、おそらく意図しないところでも周囲の人間は無神経なままで、なおかつ、主人公達も易々とその心の壁を超えられてしまう薄さが気になるのだ。

喫茶店のマスター・森本レオが「いつも見ていたでしょう」と言って餞別に写真をくれる。
いいエピソードのつもりだろうが、俺は愕然とした。
何かの話の流れから「あれ、いい写真ですね」と言って「気に入ってるなら餞別に」というならいいエピソードだと思う。
ところが、「いつも見ていたでしょう」ときたもんだ。
俺が麻生久美子だったら、いや、俺は麻生久美子じゃないんだが、「なんだ、その人の心を見透かした言いぐさは」と思うに違いない。「そんなに物欲しそうな顔に思われてたんだ」と嫌な気持ちになる。喫茶店のマスターとかバーのマスターとかウェブマスターとか、およそマスターと名の付く職業の人間は客に干渉しちゃいけねーんだよ!

と、まあこんな風に、周囲の人間の無神経さに腹が立った。
あと、ぼくらの女神=麻生久美子が、少し距離のある“ぼくらの女神”よりもっと近い距離の“僕の彼女”として、抱きしめたくなるほど近い距離感で描かれることを期待したのに、結局(むしろ)遠い存在でしか描かれていなかったことにガッカリした。

本当は2点。
でも、麻生久美子のフランス語が色っぽかったのでおまけ。
あと、壁越しでホチョノさんの名曲「風をあつめて」を合唱する様が、なかなかシュールなコメディーシーンに見えたのでおまけ。

ていうかさあ、このオチだったら、どちらか一方の視点に徹して、「まだ見ぬ隣人との出会いの物語」の方が面白かったんじゃない?

2009/05/16公開(2009年 ジェイ・ストーム要するにジャニーズ)

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