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重力ピエロ




監督:森淳一/ユナイテッドシネマとしまえん/★3(65点)本家公式サイト

この映画にとって最大の重力は原作だったのかもしれない
原作は未読なので分かりませんが、映画からも何か文学的な面白さが感じられる気がします。

「春が2階から落ちてきた。」
この冒頭のナレーションは、
「あんなに笑顔なんだから落ちるはずがない。」
というピエロの綱渡りシーンの台詞で重みを増すのです。
笑顔なら落ちないんです。

「泉も春も、英語でスプリングって言うの。」
スプリングには、バネや跳躍という意味もある。
この話は、前向きに何かに向かって跳ぶ者の物語ではない。
まるで重力のようにある事件に引っ張られ、落ちないように必至に綱渡りする者達の話だ。

このスプリング兄弟は、まるで遺伝子の二重構造の遺伝子のように、少しずつずれながら、同じ物の周りをまわっている。

「火は浄化する作用がある」と弟は言う。
一方兄は水に落とそうとする。一般的に、水にも浄化作用があると言われている。
実は二人が考えていることは同じなのだ。
溺死を選択するのは偶然ではない。
兄は無意識に、作家は周到に計算して、選択している。

だが、映画はどこまで計算できていたのだろう?

原作は読んでいないので確かなことは言えませんが、話の面白さ(ストーリーというよりも文学的符号の面白さ)と映画の面白さは一致しないのだなあ、と思うのです。
“血”を巡る物語に“遺伝子構造”を持ち込むのは、小説としては面白い発想だと思います。
でも多分、遺伝子なんてものは映像に向かないのです。
映画の場合、“血”を巡る物語ならば、もっと人と人、もっと感情と感情がぶつかり合うものが必要だったように思えるのです。

このテーマで落とすなら、「鮮やかなミステリー」よりも、観ていて嫌な気持ちになるようなドスゴイ人間ドラマの方が、映画向きの気がするんだよなあ。
ま、そんな嫌な映画、客が入らないけどね。

2009年5月23日公開(2009年 日)119分

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