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フィッシュストーリー




監督:中村義洋/渋谷シネクイント/★4(88点)
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いま日本で、否、世界でいちばん“困り顔”が似合う女優=多部未華子。たぶん中村義洋は分かってる。いろんなことが分かってる。
多部ちゃんはさあ、特別かわいいとも美人とも思わないし、正直、奈良美智の描くやぶにらみ顔の少女に似てると思うんだけど、見ていて飽きないんだよね。
「多部ちゃんだから」という理由だけでついテレビドラマを観てしまうお気に入り女優の一人。
ほんと、彼女の“困り顔”は見ていて楽しいんだよね。
中村義洋はそれを分かってるんじゃないかと思う。
(だって最後は誇らしい顔だっていいわけでしょう?)

話も滅法面白くて、伊坂幸太郎に負うところが大きいのだろうけど(原作未読)、『アヒ鴨』の原作を映画鑑賞後に読んだところ、もちろん原作も面白かったのだが、とてもこなれた映画化だったと記憶している。
同じ伊坂幸太郎原作の『陽気なギャングが地球を回す』と比べればその力差は歴然で、中村義洋はトリッキーな話を正攻法で映画的に魅せる術を分かっているんだと思う。

あとねえ、曲がかっこいい。分かってるのは斉藤和義なんだろうけど、超かっこいい。
1970年代前半は、まだ「パンク・ロック」という言葉すら存在していない時代なんだよなあ(劇中「パンク」と呼ぶのは現代のパートで、当時のパートでは出てこない)。
だって殿様キングスの時代だからなあ。当時幼稚園か小学生の俺だって歌えたぜ、殿キン。
でもこうした音楽が全く無かったわけじゃなくて、村八分や頭脳警察が先駆者としていたはずなんだ。さすがにリアルタイムじゃ知らないけど。とは言え、吐き気がするほどロマンチックな遠藤ミチロウだってピストルズで目覚めた80年代の人だし、ブルー・ハーツなんざ所詮90年代さ。
なんてことはともかく、曲がかっこいいのは重要だと思うんですよ。そうでなかったら響かない。
小説では表現し得ない“音楽”が重要なパーツであることを中村義洋は分かってるんだと思う。

そして、パズルのように、パーツをつなげて点を線に、線を面にすることが分かっている。
世界が繋がっている映画で、それを実践しているような気がする。

これは、タイムマシンのないタイムスリップSFだ。

2009年3月20日公開(2009年 日)112分

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