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ゼラチンシルバーLOVE




監督:操上和美/新宿武蔵野館/★2(35点)
本家公式サイト

操上和美が監督であることには2つのポイントがある。1つは写真家であること。もう1つは70歳過ぎの爺さんであること。
劇中、どんな写真を撮るのか問われ「自分が美しいと思ったものを写す」と答える台詞があります。
ストーリー上重要な伏線であると同時に、写真家・操上和美のポリシー、「そこに山があるからだ」宣言でもあるように思えるのです。
この純粋な芸術家精神は、一流アーティストだから言えることですし、老成とも見て取れます。
実際この映画は、写真家らしい美しい構図満載で、あるいは写真では表現しきれない動画の美しさ(例えば流砂や日の出)をフィルムに写したかったのかもしれません。
ただ、写真的に美しい構図が映画的に面白いシーンかと言うと、それは別の話。
この映画に、映画的情景は無いに等しい。

ストーリーは典型的な「なんだろう?」型。
観客が身を乗りだしてストーリーにのめり込むのは「どうなるんだろう?」なんですね。
「なんだろう?」で引っ張る展開は、作り手は楽なんだけど、余程のことがない限り観客の興味を維持しつづけられない。
約20年前の私の大学生時代に観た数々の自主製作映画は、見事に「謎の女」が頻繁に出てくるんですよ。
「謎の女」で興味を維持しようとする話は、20年前の自主製作レベルの話の作り方。

要するにこの映画、発想が古いんですよ。70歳過ぎの爺さんの発想なんですよ(年齢の割に若い発想ではあるけど)。
だいたいさあ、宮沢りえに永瀬正敏ってキャスティングが10年は古いよね。老人の考える「今時の若者」。
今なら、そうさなあ、真木よう子とか。男は誰でもいいけど、イイ男過ぎると「今の時代」感が出ないよね。この話ならもっと草食系男子がいい。

いや、話(意図)は分からんではないのです。
砂漠の虫のエピソードとオーバーラップする男の結末。
女は“仕事”をする前に卵を喰らい、男はその“仕事”前の女の顔に惚れる。一方女は“仕事”の後の顔に惹かれる(必ず振り返って顔を見る)。これはエッチをする前に盛り上がる男と、事後に親密さを増す女性の違いかもしれない、なんてことも想起させる。
分からんではない。
分からんではないんだけど、「なんだろう?なんだろう?」で引っ張った結果が「美味しい半熟卵の作り方」を教えられました、っていうのもなあ。
オムニバス映画の短編の1エピソードならよかったかもしれない。

陽水、林檎、ちょっとだけ清順的描写と、好きな要素はあるんだけどねえ。

2009年3月7日公開(2008年 日(配給:ファントムフィルム))

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