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カッコーの巣の上で




監督:ミロス・フォアマン/BS/★4(74点)本家

理想的な鶴の恩返し。時代が生んだ原作を時代を超えうる作品にした理想的な映画化。
作劇パターンの王道の一つに、外来者がそこにいる人々を変化させたり心に何かを残して去る、というのがあります。代表格は「鶴の恩返し」。この映画は理想的な鶴の恩返しパターンと言えます。ま、カッコー言われたから鶴とか言い返してみたかっただけなんですけどね。

ものの本によれば、75年の映画ですけど、時代設定は60年代だそうで(今はこんな治療法はしない!とモメたそうです、当時)。
原作が60年代のもので、舞台化もされたそうですが、共にもっと反体制的要素が強かったそうです。
(ちなみに私の調べでは、原作のケン・キージーはその後ヒッピー、サイケデリック・カルチャーの象徴と言われ、LSD常用・推奨者としても有名だとか。俺は知らんかったけど。あと、どうでもいいことだけど、原作の主人公はチーフなんだって。)

まあ、そういう時代ですわ。

それを75年に映画化する際に、「人間性の開放」にシフトしたそうなんですね。これもものの本の受け売りですけど。
それもある意味時代が求めたテーマ性ではあるんでしょうけど、もっとずっと普遍的なテーマなんです。管理社会下でもバブルみたいな狂った時代下でも「人間らしさを取り戻す」というのは。
(テーマ・演出共に求めたその普遍性故、トンガッタ映画ではなくなっているが)

私がこの映画で一番印象に残ったのは、筆おろしした坊ちゃん(<なんて言い種)が連行される時のジャック・ニコルソンの表情。
婦長の厳しい表情との対比なので尚更なんですが、すごく心配そうな「人間味あふれる表情」をする。
あのジャック・ニコルソンが心配そうな顔してるよ!

ああ!そうなのだ。

外来者マクマーフィーは、カッコーの巣(精神病院の蔑称でもあるそうだ)の住人に変化を与えた。彼らの人間性を開放した。
だが、人間らしさを取り戻したのは、本当はマクマーフィー自身ではなかったか!

彼は廃人になってまで生き永らえたいとは思わないだろう。
おそらくそう考えたチーフは、彼に人間らしさを与える「恩返し」をしたのではないだろうか。

(1975年 米))

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