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ダークナイト




監督:クリストファー・ノーラン/丸の内ピカデリー/★4(70点)本家

バットマンさえ出てこなければ5点付けてもいい。ホント、このセレブ野郎大嫌いだ。余裕の無い時代の映画。
好評なのに無視し続け、「『バットマン ビギンズ』がダメだった人も楽しめる」と多くの友人達から勧められながらも「ダメどころか大嫌いなんだよあの映画」とさらに無視を決め込み、いよいよキネ旬が俺の年間1、2位『ノーカントリー』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』に続く第3位に本作を挙げたことでしょーがねーなぁと思い始めた矢先に凱旋上映なる機会があったので渋々重い腰をあげて劇場に。

うん。面白かったよ。

面白かったけど、新生バットマンの嫌いな理由がはっきり分かったので、これから延々悪口を書きますね。

リアルなんですよ。
いや、リアルなドラマは好きなんでそれ自体はいいですし、マンガちっくなキャラクター造形の方がいいというわけでもないんです。むしろあんまりマンガマンガしてるのは好きじゃない。
この街だって、ゴッサム・シティじゃなくてニューヨークみたい。だって警官のパレードはアイルランド人の祭りだもん。ほら、移民の遅かったアイルランド人は警官くらいしかなるもんがなくて、それより遅かったイタリア人はギャングしかなるものがなかった、ってあれでしょ。
でも「こんなのゴッサム・シティじゃない!」って文句言ってるわけでもない。

バットマンの最大の難点は「金持ちの道楽」という設定だと思うんですよ。
これ、マンガだったら飲めるんだ。その道具どこで作ったのよ、とか。
でも、リアルを追求した結果、そういうツッコミを解消しようとするわけでしょ。
んなもんで、やれセレブだの、やれ大企業の社長がスポンサーだの言い出すわけですよ、面倒くせえ。まあ、原作でもそうなんだろうけど。

そう考えると、荒唐無稽な設定にリアルで説得力まであってテーマ性まで持たせた平成『ガメラ』は凄かったと改めて思っちゃう。

だいたいさあ、資金集めのパーティー主催してヘリで乗り付けたり美女はべらせてクルーズしてるセレブ野郎が狂人殴ったところで「ヒャッホー!」「カックイー!」って思えるかっての。首も回らねえくせにこの野郎。
「お前に俺は殺せない」「ルールに縛られてる」というジョーカーの言葉通りで、結局自分の殻を破れないボンボンなんですよ、こいつは。
まあ、最後の最後で自分の殻を破ったと解釈してもいいんですが、だとしたら長い序章ですよ。『ビギンズ』140分、本作152分、合計約4時間50分。

こうした悲しくないヒーローに同情も共感もできない性質なんですが、狂人ジョーカーはウヒャウヒャ楽しみましたよ。うん、あの演技は見ていて楽しかった。もっとやれ!と思った。正義の名の下なら盗聴も許されると思ってる庶民を見下した変態コスプレセレブ野郎が正義風吹かせている街なんか破壊しつくせ!と思った。

でもねえ、一番悲しいのはゲイリー・オールドマンなんですよ。
「もう悪役や狂人の役は嫌だ!」「子供に見せられる役がやりたい!」って『ロスト・イン・スペース』に出たら、「パパ、あんな駄作に出ちゃダメだよ」と言われてしまったというエピソードが悲しいだろ。本当か嘘か知らないしここでは何の関係もないけど。

現場は大混乱したろうし原作に忠実ではないかもしれないけど、ダークファンタジーとしてティム・バートン版はやっぱり好きなんだよなあ。
それは80-90年代の余裕だったのかもしれない。
本作を観ると、つくづく今の時代は余裕が無いんだなあ、と。

日本公開2008年8月9日(2008年 米)

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