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ありふれた奇跡




フジ・木10連ドラ/脚本:山田太一(公式サイト

不自然なリズムに潜むキーワード
私は猛烈な向田邦子信者ではある。その反動かどうか知らないが、大御所脚本家の作品をあまり見ていない。むしろ嫌いと言ってもいい倉本聰の「北の国から」なんぞ一つも見たことがないし、橋田寿嘉子に至っては鬼に喰われてしまえとさえ思っていたりする。
でも山田太一は嫌いじゃない。まあ、特別好きでもないんだが。
比較的“見慣れている”脚本家ではある。12年ぶりの連ドラだそうで。最後の民放連ドラ「ふぞろいの林檎4」は見てた・・・ような気がする。

ところが、見慣れているはずの眼をもってしても、大変“不自然なリズム”の作風である。
なんだろう?
台詞はいつもの山田太一節なんだけど、何か違う。
演出なのか?役者のせいなのか?なんだかCMを入れるタイミングまで間違ってるような気がしてくる。

ところがところが、見ているうちに不自然じゃなくなってくる。こちらが慣れてきたのか脚本の手腕なのか分からないが、そう違和感を感じなくなってくる。

ところがところがところが、演出(?)の不自然なリズムを感じなくなってくると、ストーリー(脚本上)に不自然なリズムがあることに気づき始める。

ストーリーに全然関係なく登場する子連れふせえりは一体なんだ?
母(戸田恵子)が娘(仲間由紀恵)に「赤ちゃんを抱きたい」と言い出すも、結婚を急かす嫌味でなく素で言ってるだと?なんだそれ?
下手故の不自然さではなく、意図的な不自然さがある場合、そこに意味があると読み取るのが普通。
ん?そういやこのドラマ、公園で遊ぶ幼児スタートだったな。

どうやら「子供」は隠れキーワードらしい。
自殺しようとした男の話が第1話のメインだったので、「生と死」が一つのキーワードと読み取ることもできる。
また、やたらに親子関係の描写も多い。この世に生を与えてくれた親、ということなのかもしれない。

ここに、山田太一自身の言葉を重ねてみよう。

山田太一は言う。
「今の社会は人間の力がすべてという考えが強く、願ったことは必ず実現するとか、頑張れば何とかなるという思いが強い」
「でも、本当にそうだろうか?」
「人間の力が及ばないことがたくさん我々を取り囲んでいる」
「もしかしたら、こうして生きてることが奇跡かもしれない」

ドラマの中では、自分に非はないのに家族を失ってしまった男が登場する。
そして彼は、自分の意志で死のうとして死ねないのだ。

このドラマがだんだん見えてきた(まだ1話目なのに)。
「夢は必ずかなう」という低脳な人生ガンバレソングみたいなのじゃなく、非常にささやかで謙虚で繊細な「人生ガンバレ」ドラマなんだと思う。
まあ、まだ分からないけど。
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