November 2018  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

リダクテッド 真実の価値




監督:ブライアン・デ・パルマ/渋谷シアターN/★5(90点)
本家公式サイト

デ・パルマのド本気。「アメリカ」の映画。
こうした内容の映画はその内容についての賛否が先行しがちで、特に個人の“思想”に触れる部分は論議を呼ぶことがあります。
実際、ヴェネチア映画祭でも賛否の嵐、アメリカではニュース番組で上映禁止を呼びかけられたとか。

まあ、賛否や議論があることはそれはそれでいいんですが、私は、この映画でデ・パルマが貫いた「第三者の視点」を高く評価したいと思うのです。

企画の段階で、ハリウッドメジャーの配給が望めないことは分かっていたはずです。
それでも自ら脚本を書いてこの映画に挑んだデ・パルマ。
ほぼ全編、誰かの「カメラ」による映像で描写することで貫いた第三者の視点は、冷静でありながら、むしろ冷静を装っているが故、逆にそのド本気が垣間見えるのです。

この映画には、私の大好きなデ・パルマのケレン味たっぷりのスローモーションや画面分割はありません。
もちろん様々な「映像」の組み合わせはデ・パルマ的ギミックではあるのですが、淡々と積み重ねられる「映像」は、言葉ではなく映像で語ろうとする“映画監督”の凄味すら感じます。
その姿勢の決定的な現れが、エンディングの写真であることは異論の余地がないでしょう。

そして忘れてならないのは、「フィクション」だと冒頭で宣言していることです。
これは批判を避けるための手段ではありません。
「フィクション」を構築するのは、そこに描くべき「意図」があるからです。

兵士達の人種や生い立ち、帰還した者が「英雄」として迎えられる社会、特ダネを手にすれば成り上がれる風土。
この映画の「意図」は、戦争そのものよりも、「アメリカという国家」を描写することだったのではないか、と私は思うのです。

デ・パルマに『キャリー』以来の★5進呈。
いま思い返すと『ミッドナイトクロス』に5点やってもいい気がしてきたな。

日本公開2008年10月25日(2007年 米=カナダ)

comments

   

trackback

pagetop